これからの和室の在り方
2025.07.16
13日から本日16日まで新盆(7月盆)です。一般的には旧暦のお盆である8月盆が一般的ですが、主に関東や北海道の一部地域では新暦の7月盆が主流になっています。
お盆とは、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という先祖の霊を迎え供養する行事です。起源は、目連(もくれん)というお釈迦様の弟子が亡き母を救うため供物を捧げた…という古代インドのお話。この教えが中国から日本へ伝わり、先祖の霊を迎えて供養する風習として定着したようです。

少し前までは、お盆期間は家族や親戚が集まり、仏壇のある和室に集って語らいの時間を過ごす……そんな光景が当たり前でした。しかし近年は集まりそのものが減り、和室の出番も少なくなりがちです。新居に和室を設けない方も多く、「物置のようになっている」「古くて使いづらい」といった声も多く聞かれるようになりました。
それでも和室には他の部屋にはない落ち着きや柔軟さがあります。そこで今回は、和室を今の暮らしに合わせるポイントをご紹介したいと思います。
■和室における建具の名称と役割
まずは和室に使われる建具を改めてご説明します。
●襖(ふすま)
和室の間仕切りとして最もよく知られているのが襖です。紙貼りの引き戸で、空間を区切りながらも柔らかく光を通す性質があります。最近ではクロス貼りや和紙調フィルムなど、モダンな素材での張替えも人気です。
・L字型襖(角襖):角で部屋を仕切る形で、和室を一体にも独立にも使える構成です。
・片引き襖/引違い襖:用途に応じて開口の広さや導線を調整できます。
●押し入れ
和室における収納の基本ですが、昔は「モノを収納する=床下や壁の中」でした。その後、平安時代に物を押し込む収納スペースができ、押し入れと呼ばれるようになったと考えられています。

●天袋(てんぶくろ)・地袋(じぶくろ)
床の間のわきや押し入れの上部に設けられている小さな収納をいいます。日常的に使用しないものを収納するのに使われます。逆に、地袋は床に接して設けられる扉または戸のついた造り付けの戸棚をさしています。

●長押(なげし)
かつては構造材の一部でしたが、現在では装飾やフック掛けとしての用途に変化しています。最近では長押をなくし、すっきりしたデザインにする傾向もあります。逆に、アクセントとして洋室へ取り入れることも。

●欄間(らんま)
天井と鴨居の間にある開口部分に入れる彫刻板をさします。 家の品位を高める装飾品としてだけではなく、採光と風通しを良くして、湿度の高い季節でも快適にする役割もあります。リフォームの際は、欄間を活かすデザインにすることも多くあります。

■和室を暮らしに取り入れる
現代のライフスタイルに合わせた和室にするためには、①用途を見直す、②和室のサイズ・場所を考える、③断熱や気密の性能を上げて快適な場所にする、などがポイントです。
①用途を見直す
かつてのように寝室や客間、仏間としての用途に限らず、現代ではリモートワークの場やお子さんの遊び場、ペットと過ごす部屋としても活用できます。「誰が・いつ・どのように使うか」を明確にすることで、間取りや内装、設備の方向性も見えてきます。

②サイズ・場所を考える
用途を見直すと、自然にサイズや場所も明確になってきます。たとえば小さなお子さんがいるご家庭ではリビングとつながる4.5畳ほどの小さなスペースや小上がりに。来客が多いご家庭では玄関横に設計すると、使い勝手のいい場所に。用途によって広さも変わります。

③性能を上げる
断熱や気密といった「性能面の強化」も重要です。畳の下に断熱材を入れる、二重窓や障子風内窓を設けるといった工事を行うことで、夏や冬も快適に。特に古い和室は外気温の影響を受けやすいため、リフォームでは必ず検討したいポイントです。
和室を「あれば使うだろう」と取り入れたり、とりあえず昔のまま残したりすると、物置となってしまいかねません。今の暮らしに合わせてアップデートすることで、来客の間や自分時間の場所、子供の遊び場や介護スペース、在宅ワークの場所などさまざまな使い方ができます。
伝統と現代の暮らしを合わせた場所として、和室の在り方を見直してみてはいかがでしょうか?
新築だけでなくリフォーム、リノベーションもお気軽にご相談ください😊

BACK