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Dialogue

オーナー様×建築家 対談

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Data

空の家( 島根県・ 出雲市)

新築戸建て住宅
木造 2階建/夫婦+子供
延床面積:797.57㎡(241坪)
増築面積:26.29㎡(8坪)
竣工:2023年8月

家づくりは「二人三脚」の旅路。
理想の住まいをつくるには、想いを重ねることから始まる

人生に一度きりとも言える家づくり。
満足のいく家を実現するには、ただ建てるだけではなく、施主と建築家が共に
“考え、悩み、創る”というプロセスを大切にする必要があります。
今回の特別対談では、たみつ建匠舎の建築家と、実際に同社で家を建てた
施主・坂口さんが出会いから完成、そして3年経過後の住み心地までを本音で語り合いました。
家づくりを検討中の方にとって、夢の実現に近づくヒントや気づきが満載の
「リアルな教科書」です。

平屋への決断が生んだ満足度
想いが詰まった一軒。

最初は一般的な2階建てを検討していた坂口さん。しかし打ち合わせを重ねる中で、自身のライフスタイルや将来の暮らしやすさを考慮し、「平屋」へと大きな方向転換をする決断に至りました。
「最初は予算とのバランスや土地の使い方など、不安もありましたが、平屋にして本当に良かった」と坂口さんは語ります。設計案はK案からL案まで20案以上にもおよび、打ち合わせ回数は通常の4〜5倍にもなりました。それだけ時間をかけたからこそ、「不満は一切ない」と断言できる家が完成したのです。

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予算とデザインの両立。
割れない炭モルタルの驚き

コストと美観のバランスをどう取るかは、家づくりにおいて誰もが悩むポイント。たみつ建匠舎では、限られた予算の中でも見た目に妥協しない工夫が随所に光ります。
その代表的な例が、玄関部分に使われた「炭モルタル」。通常は割れやすく扱いが難しい素材ですが、独自に開発された“たみつ仕様”によって耐久性を確保。「他の現場では割れたこともあるが、この仕様では一切割れていない」と建築家が胸を張るこの素材は、見た目だけでなく、たみつ建匠舎の研究開発姿勢の象徴とも言えます。

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信頼は
「遠慮のなさ」から生まれる

「遠慮なく何でも言えたのが大きかった」と坂口さんは振り返ります。建築家との打ち合わせでは、時に冗談交じりに「いじめてるつもりで」質問をぶつけていたそうです。その積極的なコミュニケーションに対し、建築家は一切の押し売りなく、ひとつひとつ丁寧に応答。
「20回以上の打ち合わせは大変でしたが、その分安心して任せられました。押しつけでない提案が信頼に変わった」との言葉に、真摯な対話が後悔しない家づくりを可能にしたと実感します。

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デザインへの徹底したこだわり

たみつ建匠舎の特徴のひとつが、「見えない設計」の美学。特に坂口邸では、「ドアを壁の一部に見せる」設計がなされており、ハイドアの採用や天井高に合わせた建具の統一により、空間に一体感と品格が生まれています。
「ドアが主張しないと、こんなにもすっきりした印象になるのかと驚きました。まるで“壁が動く”感覚」と坂口さん。細部まで計算されたデザインが、住まいに調和と豊かさをもたらしています。
完成して3年。住んでみてはじめて見える部分もある中で、坂口さんは「本当に良い選択だった」と語ります。特に記憶に残るのが、電気が通った夜に現場を訪れた時。「照明の灯りがついた空間を見た瞬間に、すべての苦労が報われたと感じた」と言います。
周囲の知人から他社施工の不満を聞くたび、「うちは良かった」と実感するのだとか。時間をかけて信頼関係を築いた家づくりだからこそ、完成後も続く満足感があるのです。

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本物の素材を選ぶ喜び

足元の心地よさを重視した床材には、長野県産の「安曇野松」を採用。無垢材でありながら、反りやきしみがなく、ペットにも優しい素材です。
「犬の爪痕も、自然光でやっとわかる程度でほとんど目立ちません。夏は涼しく、冬は温もりがあり、裸足で歩いて気持ちいい」と坂口さん。製造元がすでに倒産してしまっている今となっては、希少な材を間に合わせてくれた建築家の目利きに感謝しています。

家づくりを検討するあなたへ
坂口さんからのアドバイス

「建築家に任せるだけでなく、こちらもある程度の知識を持って意見を出すことが大切です」と坂口さんは言います。YouTubeなどで情報を収集し、素材や設備、間取りについて具体的にリクエストしたことで、より良い提案を引き出すことができたそうです。
実際、トーヨーキッチンやミーレの食洗機など、具体的な希望に対して建築家がショールームまで同行し、予算内で最適な代替案を探してくれたというエピソードも。知識と信頼があれば、施主は“いじめてみる”くらいの感覚で遠慮なく話していい─それが後悔しない家づくりの第一歩です。

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最後に建築家からのメッセージ

「この仕事をやっていて、良かったと思える瞬間があるんです。それは、お引き渡しの数年後に“今も満足してる”と聞けた時」と建築家。
散髪屋の紹介で出会い、数十回にも及ぶ打ち合わせを重ね、平屋で着地した坂口邸。利益よりも施主の満足度を重視するたみつ建匠舎の姿勢が、家づくりの随所に表れています。
“ただの設計者”ではなく、“共に歩むパートナー”として──たみつ建匠舎の家づくりには、そんな深い想いと誠意が宿っています。

対談 建築の未来

技術面で他社が断る案件こそ、 たみつが挑むべき現場

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「住宅会社では対応が難しい」とされる、こだわりの強い施主や難易度の高い案件。そんな依頼がむしろ“面白い”と語るのが、たみつ建匠舎の多々納氏と新宮氏です。打ちっぱなしのコンクリートに断熱材を仕込むという前例のない構造、他社に断られた特殊案件……。誰もが首をかしげる中で「やってみよう」と前向きに引き受け、結果的に高い顧客満足へと導いてきました。
その姿勢は、単なるチャレンジ精神ではなく、構造・素材・施工の三位一体を理解している彼らだからこそ可能なアプローチ。加えて、設計の自由度や予算配分など、通常の枠組みでは難しい調整を、工夫と対話で乗り越える柔軟性も強みです。

「“誰が考えたのか”と同業者から聞かれても、僕らは答えない。その発想力こそが価値だから」と語るのは多々納氏。設計事務所や一般の建築ファンから寄せられる相談も多岐にわたり、照明、意匠、納まりに至るまで“プロの中のプロ”としての信頼を築いています。

納まりまで設計する思想と、 細部への執着

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「納まりを設計しないのは設計じゃない」と語るのは新宮氏。たみつ建匠舎の設計思想は、いわば“細部から美をつくる”もの。たとえば、材木とモルタルの出角(コーナー)処理において、分厚いコーナー材を使わず、細く美しい納まりを実現。無駄な要素を削ぎ落とすことで、空間の密度と質感が際立ちます。
さらに階段も、木ではなく鉄骨で製作。存在感を極限まで薄くするために、フラットバーを組み合わせて軽やかな構造を実現しています。「あの稲妻みたいな階段が、実は1本のバーで成立している」と話す裏には、設計・施工をまたぐ高度な知識と経験があります。

「床なりがするから古い床の上には絶対に新しい床を貼らない」「自分の家に使いたくない材料は、どんなにコストを抑えても絶対に使わない」。徹底した哲学が、たみつの“見えない価値”を支えています。目に見えない細部まで整える姿勢は、結果として住まう人の「快適さ」や「安心感」に直結しています。

設計と現場が その場で完結する強み

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一般的な住宅会社では「設計」と「現場監督」が分業され、情報伝達のズレが生じがち。しかし、たみつ建匠舎では、設計担当と現場担当がペアで打ち合わせに同席。「その場で“できる・できない”を判断できるのが最大の強み」と両者は語ります。
施主にとっても、その場で明確な答えが返ってくる安心感は大きく、プロジェクト全体のスムーズな進行にもつながっています。さらに現場の職人との連携も密であり、設計者自らが現場を歩き、空間の温度や光の入り方まで体感しながら判断を下すのが、たみつ建匠舎のスタイルです。

図面においても「10人見て10人が同じ理解をする図面でなければ意味がない」という方針を貫き、職人の技量や現場事情まで想定して設計します。その徹底ぶりが、竣工後の仕上がり精度や施主の満足度に確実に表れています。

経験こそが、 本質を知る力になる

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新宮氏と多々納氏。年齢は異なるものの、共通するのは「木の香りとともに育ってきた」幼少期の原体験です。小学生時代から刻みやホゾ穴を開け、大工の世界に触れてきたことで、「本物」に対する目が養われました。
二人が大切にしているのは、「図面の中の線一本にも責任を持つ」という姿勢。頭の中にある理想を、どうやって実物に落とし込むか。そこには、現場の積み重ねが欠かせません。「センスはあったほうがいいけど、最終的には経験がすべて」と二人は口を揃えます。

過去に在籍していた大手工務店では、さまざまな建築士の現場を担当し、素材の使い方や職人の癖を体感的に習得。設計に正解があるわけではないからこそ、「肌感覚としてのリアリティ」が重要になります。カタログだけでなく“現場を見てきた目”が、今の設計の源泉になっています。

建築は「衣食住」に通じる。 隠す美学と見せ方の妙

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設計という仕事は、料理家やファッションデザイナーに近い──そう語る多々納氏。「同じ材料でも、混ぜ方、焼き方、見せ方で全く別のものになる。建築も同じ」
たとえば、見せたくない設備機器や構造体を“あえて隠す”というのも、たみつのこだわりのひとつ。「ノアやアルファードのように、ガラスのワイパーを隠す技術。見えないようにすることが、逆に高級感を生む」

“美しく見える工夫”ではなく、“美しく見せない工夫”──その設計思想は車や料理、服飾など、あらゆるデザインと共通しています。空間に余白を生み、素材の質感や構成要素そのものを際立たせるこの発想は、飽きのこない上質な空間をつくる鍵となっています。たみつ建匠舎の家は、華美さではなく、静かに深く心に残る設計を目指しています。

コンサルティング型建築家 としての役割

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「こうしたいんですけど……」と施主が相談してきたとき、「じゃあ、こういう方法もありますよ」と返せるのがプロの建築家。たみつ建匠舎では、“建てる”前に“考え抜く”というコンサルティング的姿勢を徹底しています。
構造の安全性、見た目の美しさ、暮らしやすさ、メンテナンス性、コスト──すべてを俯瞰し、最も良い選択肢を導き出す。それが“設計力”であり、“判断力”であり、“想像力”でもあります。

「収まり、美観、コスト、暮らしやすさ、全てに納得して初めて一歩踏み出せる家づくりができる」──そう語る両名の目指すものは、“見えていないところ”までこだわり抜いた、唯一無二の設計。
「依頼された通り」ではなく、「依頼の先」を読み取り、言語化されていない理想像を汲み取ってカタチにする──それがたみつの設計スタイルです。

最後に、 断られた案件、私たちがやります。

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「他社に断られた?うちならできますよ」─その一言が言えるのは、たみつ建匠舎の技術と経験があるからこそ。どんなに難解で非効率に見える依頼でも、彼らは“考えること”を諦めません。
一見“面倒”とも思える特殊案件こそ、建築家の本質が試されるステージです。そこには、ただの施工力ではなく、“設計思想と施工知見の融合”が問われます。

たみつ建匠舎は、目に見える美しさだけでなく、目に見えない価値、美学、工夫を大切にしながら、常識を超えた“本当に満足できる家づくり”を実現しています。
すべては、住まう人の「心地よさ」と「誇り」をつくるために。

あなたの “理想以上” を、共につくりませんか。

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